まえがみのニンニンニン

我が名はまえがみであり前髪である。書きたいことを書きたいように書いているのである。

磯田道史著「歴史の愉しみ方」

読了後時間が経っているが

予期せず先日著者様の講演会も見れたし

せっかくなんでこの本の感想を記録しておく

 

 

歴史の愉しみ方 - 忍者・合戦・幕末史に学ぶ 

磯田道史

 

今年の初めらへんに

「うおおおお忍者の勉強しなきゃああああ」

っていう発作が起きて何冊か忍者関係の本を衝動買いした中の一冊

 

この頃はいまおもえば、磯田さんについて全く存じてなかったし(「武士の家計簿」の原作者であるとか)

歴史についても、忍者についても、あまりに疎かった

 

そんな状態で読んだが、これがなかなか面白かった

内容は、一言でいえば、磯田さんの歴史学者としての「歴史にまつわるエッセイ集」

だが

彼が本当に歴史を愛していてズップリなので

そのワクワクが読者にも伝わり

タイトル通りな「愉しめる」一冊であった

 

 

まず、冒頭に書かれた「地震災害」についてのことから、私はこの著者に引き込まれた

 

(この本の発行は2012年。2010年~2012年に様々な雑誌や新聞で掲載された文章をまとめたもの)

 

東日本大震災が起きたことから、「歴史学が国民の命にかかわる時代になった」と認識した磯田さん。

歴史から紐解いていくと、今後南海トラフ地震が起きた場合、東日本大震災の10倍の死者が出てもおかしくないという。

そしてそれはとくに、静岡県浜松市付近は、近代的な大都市を大津波が直撃する、人類史上はじめての事例になる恐れがある、

とのこと。

 

浜松市といえば私の地元である。大地震についてははるか昔から起きるといわれ、防災訓練に余念のない地域ではあったが、ピンポイントに「大津波が直撃する」かのよう述べられたので、ショッキングであった。

 

そして凄さを感じたのがこれ。

この著者は、上で書いたことをふまえて、「古文書を解読出来て、昔の地震を研究する大学の日本史研究者が東海地方にいない」ということに危機感を覚え、江戸以前の災害の古文書を探し研究する仕事を始めるため、浜松の大学に転職してしまった、ということ。

 

歴史学を現在の人々のために生かす」ということを、私は今まであまり考えたことがなかった。

研究者が、学ぶ楽しさ、オンリーから少し離れ、人のためになる使命から行動する、なんて行動、この著者のような行動ができる研究者はなかなかいないんじゃないか…?

と、なんかこの人は普通じゃないんじゃないか、と思った。

 

(現在は京都の”国際日本文化研究センター”で働かれているということなので、何か浜松での研究がひと段落したと思われる)

 

そしてワクワクしながら読み進めていく。

忍者についてはもちろん、「武士の家計簿」を書いた時の話、幕末の怪談について、皇族について、江戸の知られざる生活、震災関連、戦国時代の色んな人の色々…

など、多岐に渡る面白い内容であった。

 

日本史が本気でダメダメな私でも面白かったんだから、歴史好きな人はもっと面白いのでは??

最初から最後まで目からポロポロとおちた。そう、鱗が。

 

内容は上手く要約できないからあまりかけないけれど

個人的にめちゃくちゃおもしろかったのが、

著者の新幹線に乗る時の話。

 

関ケ原の古戦場を見れるからということで

「新幹線…よくぞ岐阜を通ってくれた…」

とまで思ってしまうほどの歴史オタク(研究者)の著者

 

しかし著者はそれだけでなく、全神経を集中して新幹線に乗り込む

 

「東京側から乗り込む時は、徳川家康の気分にならなければならない」

静岡の安倍川に差し掛かったら、人質時代を思い出し、

自分の城を見るつもりで掛川城浜松城を探し

名古屋では都市になってしまった姿に目をつむりながら

「秀吉はここ出身か…」と思い

大垣が近づいたらデッキへ移動し家康の本陣を探し…

 

新大阪からの上りの場合は石田三成のつもりで乗り、

そのまつまわる各所を見るため絶対に進行左の席を確保しあーだのこーだの…

 

歴史好きの人は新幹線でもこんなに楽しめるのか!!!

と、すごく羨ましく思い感動した章でした

 

と、このように

歴史要素を度外視しても

彼はまさに「好きを仕事にしたプロフェッショナル」

磯田さん、まじで面白いな

という気持ちに浸れる一冊でした

 

この文章の面白さから絶対この人面白い人だと思ったのですが

やはり講演会での喋りも、

癖を含めて面白く、

忍者を学びたいのももちろんあり

全く知らなかった磯田道史氏は私にとって興味深い人となりました

 

やっぱり色んな本を読むこと

色んな人を知ることって

とても大事だなぁと思ったので

ひとみしりだの本みしりだの作品みしりだの

色々ありますが

おくせず

死ぬまでに色々知っていきたい次第です

 

(いやまず歴史に興味持てよ!!!)