私は大昔から、なぜか「怖いCM」が好きだった。
(もちろん今も、配信の企画にコーナーをねじこんだほどに好きだ)
ACのインパクトあるCMを中心とした、あれらである。
↓大好きなやつ(コワイ)
何故だか分からないが
これらを見た時に感じる種類の「こわさ」は私にとってとても魅力的で
心も身体もゾクゾクとさせる。
正直ホラー映画なんかより1000倍くらいこわい。
あまりにそのこわさが響くので、未だに夜に一人では見れないほどである。
(ガチで涙がでちゃうんだよおおお)
「消える砂の像」は比較的新しくて綺麗だから、
またちょっと違うかもしれないけど、
↓こういったCM集には、もうなんというか
その画質やら音から感じられる「古さ」が
怖さを作り出しているように感じられるものもある。
そして最近、この感覚と言葉について興味深いやりとりをアメリカの男の子としたので
記憶の整理もかねて、ここにまとめておく。
時々ラインでやりとりをしている、不思議と、アメリカ人版の私、って感じの感覚を持ってる
妖怪タトゥーボーイ。(日本の妖怪のタトゥーを彫ってるのでそうよばせていただく)
急に「最近日本の怖いCM集を見たよ!面白かった!」って報告をしてきた。
(私が教えたワケでもないのにこの子は何故かそういうものにたどり着いてしまうこのすごさよ)
その子は少し日本語勉強中で少し喋れるので、日本語で、
「私もそれらが好き!」ってもちろん返して、それらを見た時に、
「日本語でいうと「気味が悪い」という感覚になる」
、という話をした。
彼にとっては多分、初めて聞いた言葉だったろう。
「気持ち悪いと、気味が悪いってどう違うの?」
と素晴らしい質問をしてくれた。
改めて考えたこともなかったから難しいなと感じつつ
考えたあげく
「同じような意味ももっていて同じように使うことも多いが、
気味悪いは、はっきりした理由は分からないけれど、不安な感じになったり、少し怖かったりする気持ち。気持ち悪い、よりも「曖昧な不安感や、こわさ」の意味を含んでると思う」
と答えた。
(私の精一杯の解説である。あってるかはわからない。)
そしたらさすが妖怪タトゥーボーイ。
「なるほど!英語でいうDisturbingの意味が近そう!」
と返ってきた。
分かってもらえたような気がする!気がする!けど…
Disturbing??
ジャマをする、みたいな意味のdisturbは知っているけど…
辞書で調べてみると
心をかき乱す(ような)、動揺させる、気がかりな、不穏な
と出てきた。
なるほど、これが「気味が悪い」に相当するかどうかわからん。
けど、わりと感覚の通ずる彼がそういったので、
合ってるように思った。
そこで確認のためにも使った話題が
「アナログホラー」
である。
近頃youtubeでじわじわ人気になっているという、新しいホラーのニッチなジャンル
「アナログホラー」
みなさんご存知だろうか?
昔のテレビ放送、VHSテープっぽい映像を使って、直接的なグロやおどろかし、ではなく、雰囲気でこっちに怖さを与えてくるのが特徴である。
一見「ほんもの?」って思っちゃうほどのクオリティがみそ。
ぜひ、こんな説明より見たほうが早いと思うので、見て頂きたい。
これは、そのホラーの人気の火付け役とされる有名なやつだ。
(日本語字幕つき)
コワィィィィ!
そうこれ!これはまさに、冒頭で私がのべた
「怖いCM」に感じるこわさ、をあえて生み出そうと目論んだ
そういった類の映像作品なのである!!!
このジャンルが世界で人気が出てると知った時、衝撃がはじった。
この感覚は…世界共通であるのか!と…。
私は妖怪タトゥーボーイに、
「アナログホラーを見ると、disturbing な気持ちになる。
使いどころ、合ってる?」
と確認した。
すると大正解だった。
彼曰く
「そうそう!scaryはシンプルに怖い。disturbingは心の中に違和感があるような怖い気持ちだよ」
ということだった。
(何と上手な日本語表現。やっぱり彼はすごいな、と思った)
なるほど、日本語でいう
「怖い」
「不気味、気味が悪い、ぞっとする」
の違いのようなものか。
そして素晴らしい例文もいただいた。
「In The thing, the alien is super scary... but that fact that it could be alive at the end is disturbing」
(遊星からの物体Xという映画は、その宇宙人がとてもscary。それがまだ生きている、というラストはdisturbingである)
完全に一致。
つまり、やっぱりなんか寒気がするような不安定な気持ち、こわさを
「disturbing」で表せるのだ。
私の好きな怖い気持ちは、英語でいうと「disturbing」だったのだ!
日本語よりだいぶシンプルである英語にもそれ用の単語が存在してることに感動したし、やっぱりこの感覚は共通するんだ!
と、ポロポロポロ。目から鱗が落ちたのでした。
そしてあらためて、会話の中だったり、例文でしか正しい英単語の使い方は覚えられないんだなぁ、と思わされた。
そしてつい、
「日本語らしいオノマトペでいうと、心がモヤモヤしたり、ザワザワしたりする感じだ!」
と言ったら
「日本語のオノマトペはワカラン、むずい」
と…。
そりゃそうだ。むずいわ。
お互い言語、がんばろうな、
と心の中で思ったまえがみでした。